コンタクトレンズの正しい使用法を守りましょう。  
   当たり前の事なのですが、コンタクトレンズを正しく使用してください。正しい使用とは、
@ 使用期限があるレンズは使用期限を守る。
A ケア(お手入れ)が必要なレンズに関しては正しいケアを行う。
B 指示された装用時間を守る。
C 医師の許可を受けている方を除いて、コンタクトレンズを装用したまま寝ない。
などです。ソフトコンタクトレンズの中では、1日使い捨てタイプがもっともトラブル発生率は低い(年間3.3%)と報告されています。ところが、比較的安全性の高い筈のこのレンズを使っている方の中にも、もったいないという理由で、保存液につけながら1週間以上使用して、角膜に大きなびらんを作ってしまい、ぼろぼろ泣きながら当院を受診された方がいます。また、頻回交換レンズ(2週間使い捨てレンズ)は、開封後2週間が使用期間の上限です。しばしば週2〜3回しか使わないからと開封後1ヶ月以上も使用している方がいます。これは間違った使用法です。中には毎日使いながら調子が悪くならないからと2週間以上使用している方もいます。調子が悪いということは何かしら異常が発生している可能性が高いことを意味しますが、調子が悪くないと言うことは、トラブルが発生していない証拠には全くなりません。当院受診の方の現在の最高記録は6ヶ月間使用していた方です。ひどい角膜びらんと結膜炎を起こしていました。使用期間は守ってください。
 2004年の日本コンタクトレンズ学会で発表致しましたが、2004年1月から4月の間に、当院をコンタクトレンズ作製目的で初診されたケアを要するソフトコンタクトレンズユーザー126名(女性90名、男性36名、平均年齢25.9±7.3歳)のうちMPS(マルチパーパスソリューション=1本タイプのケア用品)をお使いの94人のレンズケア状況を調べてみますと、メーカー指定通りのこすり洗いを実行している方を100点として、平均点は何と36点でした。しかも、初診時の事前のアンケートで私はきちんとケアが出来ているとお答えになった方々の平均点ですら45点でした。この結果は、いかにソフトコンタクトレンズユーザーのお手入れが不十分であるか、またケアに対する知識が不充分であるかを如実に表しています。コンタクトレンズトラブルの多くはレンズの汚れによって発生します。是非正しいケアの知識を身につけて、それを確実に実行して下さい。
 ソフトコンタクトレンズの長時間の装用は、角膜の酸素不足の原因となります。また、近年酸素不足状態の角膜は細菌感染の危険性が増加することがわかってきました。特に閉瞼時はただでさえ角膜は酸素を取り入れにくい状況下におかれている上に、睡眠時は涙液の分泌が極端に減少するため乾燥にともなう角膜傷害が発生しやすいため、コンタクトレンズ装用のままの睡眠は大変危険です。当院にも、1日使い捨てレンズを1晩装用したまま寝てしまった為に角膜浸潤(潰瘍)を起こしてしまった方がいます(写真7)。従って、医師の指示を大幅に超えるソフトコンタクトレンズの長時間装用や医師の許可を受けていない睡眠時のコンタクトレンズ装用は絶対に避けてください。
 

    写真7
角膜浸潤(角膜潰瘍)。左眼角膜やや上外側。(22歳男性例.1日使い捨てレンズ使用.時々装用したまま就寝していた.前夜も装用したまま就寝、翌日疼痛の為来院.)